防火管理者の選任と講習:
必要な建物と届出

2026年10月 確認てんけんどこ編集部

飲食店や物販店など不特定多数が出入りする建物は収容人員30人以上、事務所や共同住宅などは50人以上で、防火管理者の選任が必要です。建物の管理について権原を持つ人(管理権原者)が選び、消防署へ届け出ます。資格は講習で取り、甲種は2日間、乙種は1日です。

防火管理者が必要な建物と、甲種・乙種の違い

選任が必要かどうかは、建物の用途と収容人員で決まります。甲種と乙種のどちらの資格が要るかは、さらに延べ面積で分かれます。

建物の用途収容人員甲種が必要乙種でもよい
自力で避難しにくい人が入所する社会福祉施設など((6)項ロ)と、それを含む複合用途の建物10人以上延べ面積に関係なく甲種なし
特定用途:劇場、飲食店、物販店、ホテル、病院など、不特定多数の人が出入りする建物と、それを含む複合用途の建物30人以上延べ面積300㎡以上延べ面積300㎡未満
非特定用途:共同住宅、学校、工場、倉庫、事務所など50人以上延べ面積500㎡以上延べ面積500㎡未満
  • 収容人員:用途ごとに決まった計算方法で出す人数です。東京消防庁などが計算方法を公開しています。
  • 甲種:用途や規模にかかわらず、すべての建物で防火管理者になれます。
  • 乙種:上の表で「乙種でもよい」に当たる、比較的小さな建物に限られます。
  • テナントの場合:甲種が必要な建物に入るテナントでも、テナント部分の収容人員が特定用途で30人未満(用途によっては10人未満)、非特定用途で50人未満なら、乙種でよいとされています。

出典:札幌市「防火管理者について」、東京消防庁「防火管理者が必要な防火対象物と資格」、千葉県「甲種と乙種の違いはなんですか」、鹿児島市消防局「防火管理者を選任しなければならない対象物」(PDF)(いずれも2026年9月28日確認)。

防火管理者の選任届と消防計画の届出

防火管理者に選べるのは、講習を修了した人など資格を持ち、防火管理の業務をきちんと行える管理的・監督的な立場の人です。届出の流れは次のとおりです。

  1. 選任届:管理権原者(会社なら代表者など)が、建物を管轄する消防署へ出します。法律では「遅滞なく」出すことになっています。講習の修了証の写しを付けます。
  2. 消防計画の作成と届出:選ばれた防火管理者が消防計画を作り、同じ消防署へ届け出ます。内容を変えたときも届け出ます。
  3. 解任届:人事異動などで防火管理者が替わるときは、解任届を出し、新しい人の選任届も出します。

東京消防庁と札幌市では、選任届と消防計画の届出を電子申請でも受け付けています。窓口で出す場合、東京消防庁は1部(控えが要るときは2部)を持参するよう案内しています。

出典:総務省消防庁「令和5年版 消防白書 防火管理制度」、さいたま市「防火管理者の選任、解任届出はお済みですか」、東京消防庁「防火・防災管理者選任(解任)届出書/消防計画作成(変更)届出書」、東京消防庁目黒消防署「防火・防災管理に関する届出について」、札幌市「防火(防災)管理者選任(解任)届出」(いずれも2026年9月28日確認)。

防火管理者講習の日数と受講料

甲種の講習は約10時間(2日間)、乙種は約5時間(1日)です。消防本部が開く講習のほか、日本防火・防災協会がオンライン講習を行っています。

講習実施日数・時間費用(税込)
防火・防災管理新規講習(甲種防火管理と防災管理の資格)東京消防庁オンライン約7時間+実技講習1日教材費7,000円+配送代
乙種防火管理講習東京消防庁対面で1日教材費2,500円
防火・防災管理再講習東京消防庁オンライン約3時間教材費2,200円+配送代
甲種防火管理新規講習名古屋市消防局2日間5,500円(2026年10月以降の講習は5,900円)
乙種防火管理講習名古屋市消防局1日4,500円(2026年10月以降の講習は5,200円)
甲種防火管理再講習名古屋市消防局半日(午後)3,200円
甲種防火管理新規講習(完全オンライン型)日本防火・防災協会約10時間(受講期間12日間)8,000円
乙種防火管理講習(完全オンライン型)日本防火・防災協会約5時間(受講期間7日間)7,000円
  • 東京消防庁の講習は、都内(稲城市を除く)の建物で選任される人が対象です。甲種の資格は、防災管理の資格と合わせて取る講習で得ます。
  • 名古屋市の受講料は、手数料と資料費を合わせた金額です。2026年10月以降に開く甲種新規講習と乙種講習は、手数料が上がります。
  • 日本防火・防災協会のオンライン講習を使えるかは、建物を管轄する消防本部に確かめるよう同協会が案内しています。

再講習:収容人員300人以上の特定用途の建物で選ばれた甲種防火管理者は、再講習を受ける義務があります。期限は、最後に講習を修了した日のあとの最初の4月1日から5年以内です。修了から4年以上たって選任された人は、選任された日から1年以内に受けます。

出典:東京消防庁「令和8年度 防火・防災管理講習案内」(PDF)、同「電子申請 防火・防災管理講習」、名古屋市「防火・防災管理に関する講習のご案内」、日本防火・防災協会「防火・防災管理講習 完全オンライン型講習」、さいたま市「甲種防火管理再講習制度について」、総務省消防庁「甲種防火管理再講習について定める件」、札幌市「防火管理者について」(いずれも2026年9月28日確認)。受講料は年度ごとに変わることがあるため、申し込む前に各講習の案内で確かめてください。

防火管理者の業務と、消防設備点検との関係

防火管理者の業務として、札幌市は次の7つを挙げています。

  1. 消防計画の作成と届出
  2. 消火、通報、避難の訓練の実施
  3. 消防用設備等の点検と整備
  4. 火気の使用や取扱いの監督
  5. 避難や防火のために必要な構造と設備の維持管理
  6. 収容人員の管理
  7. そのほか防火管理に必要な業務

管理権原者は、防火管理者を選んで届け出るだけでは終わりません。消防計画を作らせ、訓練や消防用設備等の点検・整備を行わせ、防火管理の最高責任者として防火管理者を監督する責任があります。

点検を点検会社に頼む場合、防火管理者は日程の調整、当日の立ち会い、点検結果報告書の控えの保管、不具合の改修の手配を受け持つと、管理が抜けにくくなります。点検の回数と報告の時期は消防設備点検の義務と回数にまとめています。

収容人員300人以上の特定用途の建物などでは、防火管理者を選んでいるか、消防計画どおりに管理しているかを確かめる防火対象物点検も必要です。違いは防火対象物点検と消防設備点検の違いで説明しています。

てんけんどこの掲載会社にも、消防計画づくりを手伝う会社があります。黒澤防災(仙台市)は消防計画書の作成業務を、トータルメンテナンス(宇治市)は消防計画の作成・提案と消防訓練の企画・実施を、公式サイトで案内しています。

出典:札幌市「防火管理者について」、黒澤防災「事業内容」、トータルメンテナンス「サービス」(いずれも2026年9月28日確認)。