12条点検(特定建築物定期調査)とは:対象と費用

2026年10月 確認てんけんどこ編集部

12条点検は、建築基準法第12条で決められた建物や設備の定期報告です。多くの人が使う建物が対象で、どの建物が対象かは市などの特定行政庁が決めます。名古屋市と福岡市では、建物の調査は3年に1回、防火設備などの検査は毎年です。費用は規模で変わり、公開例は防火・建築設備検査で年5万円〜(税表記なし)です。

12条点検の4種類:特定建築物定期調査・建築設備定期検査・防火設備定期検査・昇降機

定期報告には4つの種類があります。建物の所有者(管理者)が資格者に調べさせ、結果を特定行政庁に報告します。特定行政庁とは、建築主事を置く市や県のことです。

種類何を見るか報告の周期調査・検査できる人
特定建築物の定期調査敷地、構造、建築設備の状況。損傷や腐食などの劣化の点検が基本です。おおむね6か月〜3年の間で特定行政庁が決める一級建築士、二級建築士、特定建築物調査員
建築設備の定期検査換気設備、排煙設備、非常用の照明装置など(名古屋市の対象の例)。おおむね6か月〜1年の間で特定行政庁が決める(大臣が定める項目は1〜3年)一級建築士、二級建築士、建築設備検査員
防火設備の定期検査防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーなど。2016年6月1日の改正で新しくできた検査です。同上一級建築士、二級建築士、防火設備検査員
昇降機等の定期検査エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機など。同上(名古屋市は毎年1回)一級建築士、二級建築士、昇降機等検査員

国が一律に対象とするのは、不特定多数の人が使う建物、高齢者など自力で逃げにくい人が泊まる施設、そこに付く防火設備、エレベーターやエスカレーターなどです。そのうえで、地域の事情に合わせて特定行政庁が対象を決めます。報告をしない、またはうその報告をした場合は、100万円以下の罰金の対象です。

建築設備の検査の対象には、非常用の照明装置も入ります(名古屋市の例)。消防法の点検で見る誘導灯のバッテリーの寿命は誘導灯の交換とバッテリー交換の費用にまとめています。消防法の非常用発電機の点検との関係は、非常用発電機の負荷試験で説明しています。

出典:国土交通省「建築基準法に基づく定期報告制度について」、同「特定建築物調査員資格者証等の交付申請等について」、e-Gov法令検索 建築基準法第12条、同 第101条、同 建築基準法施行規則第5条、同 第6条、名古屋市「建築基準法に基づく定期報告制度について」、同「昇降機等の定期報告」、中部消防設備「防火設備定期検査」、中部消防点検サービス「建築基準法12条関連」(いずれも2026年9月28日確認)。

対象は自治体で違う:名古屋市と福岡市の例

同じ用途・同じ広さの建物でも、市によって対象になるかどうかが変わります。次の表は、編集部が公式ページで確かめた2つの市の例です。

項目名古屋市福岡市
建築物の報告の周期3年ごと3年に1回
建築設備・防火設備の報告の周期毎年1年に1回
物品販売の店舗・飲食店など3階以上か地階に100㎡を超える部分がある、2階の床面積の合計が500㎡以上、床面積の合計が3,000㎡以上のいずれか地階か3階以上に100㎡を超える部分がある、2階の床面積が500㎡以上のものなど
事務所階数5以上で、3階以上か地階に事務所があり、その合計が3,000㎡を超えるもの対象の一覧表に記載なし
共同住宅サービス付き高齢者向け住宅に限る5階以上のいずれかの階で100㎡を超えるもの(報告年度は区ごとに違う)

たとえば共同住宅は、福岡市では5階以上に100㎡を超える住戸部分があれば対象です。名古屋市ではサービス付き高齢者向け住宅に限られます。名古屋市のエレベーターなどは、検査済証を受けた日を基準に毎年1回の報告です。報告の年度や受付の期間も市ごとに決まっているため、建物のある市の建築指導の窓口で確かめます。

出典:名古屋市「建築基準法に基づく定期報告制度について」、同「昇降機等の定期報告」、福岡市「特定建築物等の定期報告制度について」、同「報告の種類と対象となる建物の用途一覧表」、同「定期報告制度の概要」(いずれも2026年9月28日確認)。表は一部の用途の抜粋です。

12条点検と消防設備点検との違い

どちらも「建物の点検」ですが、法律も、見る物も、報告先も違います。多くの人が使う建物では、両方が必要になることがあります。

項目12条点検(建築基準法)消防設備点検(消防法)
根拠の法律建築基準法第12条消防法第17条の3の3
見る物建物の劣化(構造・外壁など)、換気・排煙・非常用照明などの建築設備、防火扉・防火シャッター、エレベーターなど消火器や自動火災報知設備などの消防用設備等
報告先特定行政庁(建物のある市や県など)消防署
周期建築物はおおむね6か月〜3年、設備はおおむね6か月〜1年の間で特定行政庁が決める点検は機器点検が6か月に1回、総合点検が1年に1回。報告は特定防火対象物が1年に1回、それ以外が3年に1回
資格者一級・二級建築士、特定建築物調査員、建築設備検査員、防火設備検査員、昇降機等検査員消防設備士、消防設備点検資格者(建物によっては資格者以外も可)
報告しない場合100万円以下の罰金(建築基準法第101条)30万円以下の罰金または拘留(消防法第44条)

消防設備点検の回数と報告のくわしい決まりは、消防設備点検の義務と回数にまとめています。防火扉や防火シャッターは、12条点検の防火設備の検査で見ます。消防設備点検と同じ会社に頼めると、日程をまとめやすくなります。

出典:e-Gov法令検索 建築基準法第12条、同 第101条、東京消防庁「消防用設備等点検報告制度(消防法第17条の3の3)」(いずれも2026年9月28日確認)。

12条点検の費用

費用は、建物の広さや階数、防火設備や建築設備の数で変わります。編集部が確認した掲載店のうち、料金を公開していたのは寿防災工業(福岡市)の1社でした。同社は「防火・建築設備検査(年1回)」を5万円〜としています(税込・税別の表記なし)。建物の規模にかかわらず、法定項目の確認や書類作業は共通してかかるとも書いています。

特定建築物の定期調査の料金を公開している掲載店は、確認した範囲では見つかりませんでした。「料金は規模によって異なります」として、問い合わせを案内する会社が多くあります。規模で変わるので、図面や設備の数を伝えて見積りを取ります。見積りでは次の点を確かめます。

  • 建築物の調査、建築設備の検査、防火設備の検査のどれが含まれるか
  • 報告書の作成と、特定行政庁への提出の代行が含まれるか
  • 消防設備点検と同じ日にまとめて行えるか
  • 不具合が見つかったときの修理を頼めるか

出典:寿防災工業「メンテナンス」、ヤマト防災サービスセンター「点検」(いずれも2026年9月28日確認)。

てんけんどこの掲載店では、次の会社が12条点検(特定建築物の調査や、防火設備・建築設備の検査)を扱っています。