炉台と炉壁の選び方と費用
炉台は床を、炉壁は壁を、薪ストーブの熱から守るものです。必要な大きさや壁との距離は、機種ごとの取扱説明書で決まります。既製品の鉄製の炉台は47,300円(税込)、炉壁とのセットは88,000円(税込)という例があります。
炉台・炉壁の役割と、薪ストーブの離隔距離
薪ストーブは本体の周りまで熱くなります。そのため、床は不燃材料で守り、壁や家具とは距離をとります。この距離を離隔距離(りかくきょり)といいます。炉壁は、壁を熱から守って、この距離を縮めるためにも使われます。
離隔距離は機種と壁のつくりで変わります。ファイヤーサイドのNORN オーブンの取扱説明書では、壁の仕上げによって2通りの数字を載せています。遮熱板がない場合の壁との距離(図のA)は、メーカー指示で300mmです。内装制限緩和の告示第225号に従い、壁や天井を難燃材など(木材を含む)で仕上げた場合は1,194mmです。
- 同じ説明書は、遮熱板を「25mm以上の空気層のある不燃材壁」と定め、遮熱板がある場合は壁との距離を短く設定しています。
- 床については「不燃材料で防火上有効に保護してください」とし、NORN オーブンでは幅904mm以上・奥行き691mm以上の範囲を示しています。
- 新保製作所は自社のストーブについて、耐火壁を使っていない場合は、壁や家具から1,000mm以上離すよう案内しています。
このように、数字はメーカーや機種ごとに違います。ほかの機種の数字を当てはめず、使うストーブの取扱説明書に従ってください。
出典:ファイヤーサイド「NORN オーブン 取扱説明書」、新保製作所「薪ストーブの設置方法」、同「PART2」(2026年9月28日確認)
炉台の材料(レンガ・タイル・石・鉄板)
メーカーと販売店の公開ページに載っている材料の例です。
| 材料 | 公開ページに書かれていること | 出典 |
|---|---|---|
| レンガ | 新保製作所の改修例では床と壁に赤レンガを使い、「900度の熱に耐える」と説明しています。ストーブアートの炉台施工例には、耐火レンガ、タンブルレンガ、古レンガなどがあります。 | 新保製作所・ストーブアート |
| タイル | ストーブアートの炉台施工例にタイルの例があります。新保製作所は改修例の中で「耐熱タイルはやめたほうがよい。裏側に熱が伝わる」と書いています。 | ストーブアート・新保製作所 |
| 石 | ストーブアートの施工例に御影石、鉄平石、抗火石などがあります。薪ストーブ彩紋は、炉台はいちばん汚れる所なので、大理石など掃除しやすい素材にしたいと書いています。 | ストーブアート・薪ストーブ彩紋 |
| 鉄板(既製品) | モキ製作所の無煙薪ストーブ用の炉台・炉壁は鉄製です。炉台は置くだけ、炉壁は厚さ2.3mmで、組み立てて固定します。 | モキ製作所 |
| 下地の断熱板 | 新保製作所の改修例では、壁のレンガの下に1.2センチの断熱板・ケイカル板を張っています。 | 新保製作所 |
掲載店のストーブアートは、各種の不燃性の炉台を用意し、特別な炉台を設計して手作りすることもできると案内しています。旭川市のコロポックルは、業務内容に炉台・炉壁などの内装工事とリフォームを挙げています。
出典:新保製作所「薪ストーブの設置方法PART2」、ストーブアート「炉台施工例」、ストーブアート「Q&A」、薪ストーブ彩紋「薪ストーブの施工方法」、モキ製作所「炉壁 平面置用」、コロポックル(2026年9月28日確認)
炉台・炉壁の費用の例
メーカーが公開している既製品の価格と、施工の例です。
| 内容 | 公開している価格 | 出典 |
|---|---|---|
| 炉台 平面置用(鉄、口1060×t15) | 47,300円(税込) | モキ製作所 |
| 炉台 コーナー置用 | 47,300円(税込) | モキ製作所 |
| 炉壁 平面置用(鉄、厚さ2.3mm) | 44,000円(税込) | モキ製作所 |
| 炉壁 コーナー置用 | 66,000円(税込) | モキ製作所 |
| 炉壁・炉台セット 平面置用 | 88,000円(税込) | モキ製作所 |
| 炉壁・炉台セット コーナー置用 | 107,800円(税込) | モキ製作所 |
| 床と壁をレンガで改修(工務店に依頼) | 約8万円(材料・施工費、税の表記なし) | 新保製作所 |
モキ製作所の炉台・炉壁は、同社の無煙薪ストーブのページで販売されている製品です。営業所止めの配送で、個人の自宅へは届けられないと書かれています。
新保製作所の例は、店にあるストーブの周りの床と壁をレンガで改修し、壁との距離を50センチにしたものです。
販売店に工事を頼む場合、炉台・炉壁の費用が工事費に入るか、別になるかは店によります。費用の記事では、工事費が変わる理由の一つに炉台や壁の耐火工事を挙げています。一方、新潟市の暖冬舎は、設置の予算の目安を示したうえで「炉台の費用は別途必要」と書いています。見積りでは、炉台・炉壁がどこに入っているかを確かめてください。
出典:表の各リンク先、暖冬舎「よくある質問」(2026年9月28日確認)。価格は確認した時点のものです。
炉台は自作できるか
モキ製作所の炉台は「置くだけ簡単!職人いらず」とうたう製品です。一方で、ファイヤーサイドの取扱説明書は、据え付けや移設の工事は販売店か専門業者に頼み、自分では行わないよう書いています。
新保製作所の改修例も、工務店に頼んだものです。床や壁の下地まで手を入れる場合は、使うストーブの取扱説明書を確かめ、販売店に相談してから進めてください。これから設置する場合は、後付けの流れの現地調査のときに、炉台・炉壁の仕様もあわせて決めておくと手戻りを防げます。
出典:モキ製作所「炉台 平面置用」、ファイヤーサイド「NORN オーブン 取扱説明書」、新保製作所「薪ストーブの設置方法PART2」(2026年9月28日確認)
火災予防条例と、設置前の確認先
ストーブと壁や可燃物との距離は、市町村の火災予防条例でも決められています。市町村は、国が定めた基準をもとに条例をつくります。
総務省消防庁が示す「火災予防条例(例)」では、薪などの固体燃料を使うストーブに、不燃材料でつくった「たき殻受け」(燃えがらを受ける部分)を付けるよう定めています。あわせて、建物や可燃物から、消防長(消防署長)が安全と認める距離以上を保つことも求めています。壁の仕上げと下地を不燃材料でつくった場合などの例外も書かれています。
ファイヤーサイドの取扱説明書も、火災予防条例や建築基準法などの基準があると書いています。新保製作所は、設置図は消防法に基づくものの、地域によって異なることがあるため近くの消防署で確認するよう案内しています。設置する前に、地元の消防署と販売店に確認してください。
出典:総務省消防庁「火災予防条例(例)」、総務省消防庁(対象火気設備等の条例の基準を定める省令の概要)、新保製作所「薪ストーブの設置方法」(2026年9月28日確認)